財務指標の定義・使い方
このページの目次
財務指標とは?

- 財務指標とは何ですか?
会社の財務状況を定量的に分析する評価基準です。
ROEや自己資本比率など、大多数の指標は比率によって算出されるため、規模の異なる企業群をひとつのモノサシで比較できることが大きな強みです。
- 財務指標はいつごろ誕生したのですか?
名著「会計の世界史」によると、19世紀後半に発生したイギリスの経営分析ブームが起源とされています。
アメリカへの進出が活発となった時代、大西洋を超えた先で倒産されては困るイギリスの株主たちは、財務の安全性分析に高い関心を抱き、流動比率や自己資本比率を計算していたとされています。
- なぜ財務指標で分析することが重要なのですか?
客観的な数字情報(財務指標)で時系列・競合他社との業績比較をすることで、企業が抱える問題点の所在や、競合優位性を推測できるからです。
それらの情報が財務分析者の重要な意思決定(どちらの会社に就職すべきか?どちらの企業と取引すべきか?等)の判断材料として役に立ちます。
- ザイマニには、どのような指標を掲載しているのですか?
管理人が手に取った200以上の書籍や論文の中から、ユーザーに需要がありそうな指標を選出して掲載しています。
また、掲載にあたって指標の定義を一部アレンジすることがございます。各ページの平均値や中央値は各ページに記述された計算式に基づいて算出されていることをご認識ください。
- 財務指標での分析時に注意すべきことはありますか?
ひとつの財務指標の数値を過信しないことです。
各財務指標は、それぞれの観点で企業の経営実態を切り出した一側面に過ぎません。複数の財務指標を組み合わせて、多角的な視点での分析を実践しましょう。
- どの財務指標を活用して分析すればよいのでしょうか?
財務分析者の目的によります。「意思決定の判断材料になりそうな情報」が手に入りそうな財務指標を活用しましょう。
例えば、倒産しそうか知りたい場合は流動比率や安全余裕率を使うなど。
一方で「具体的な目的はないがざっくりと企業の財務状況の良し悪しが知りたい」そんな場合はROEやROICなど知名度が高く、指標の読み解き方に関する情報が多いものを使用するのがおすすめです。
その他財務指標を活用した企業研究・競合他社分析のアドバイスがほしい、そんな方は下記のお問い合わせ窓口から気軽にご連絡くださいませ。
財務指標百科の使い方

財務指標百科の各ページの概要と使い方
項目名 | 概要 | 使い方 |
---|---|---|
財務指標カード | 指標の概要や方向性、計算式など 重要な情報を一枚にまとめた画像。 | 視覚による、指標概要や 計算式などの総合的な確認 |
要点 | 指標の概要、計算式、目安(中央値)を 端的にまとめた3行サマリー。 | 文字情報による各指標の 定義や目安の迅速な確認 |
意味と計算式 | 財務指標カードの情報に加え、 指標の分類や改善方法を明記した表。 | 未知の指標や難易度の高い 指標に対する理解の促進 |
計算項目解説 | 指標の算出に必要な項目の解説。 例えば流動比率ページの場合、 流動資産と流動負債の解説。 | 指標の計算項目に関する 理解の促進 |
平均値・中央値 | 全業種における平均値・中央値の ヒストグラム画像。各業種における 毎年の平均値・中央値一覧と CSVデータのダウンロード機能。 (全業種平均値は加重平均値) | ヒストグラム画像による 平均値、中央値、分布の 手軽な把握。業種別の 平均値、中央値確認と 独自分析用データのDL。 |
シミュレーター | 各指標の簡易的なシミュレーター。 各項目を入力するだけで目的の 指標が自動的に算出される。 | エクセルなどで指標を 計算した際の検算や、 指標のシミュレーション |
ランキング | 分析最新年における各指標の ランキングTOP7を紹介した表。 | 各指標におけるランキング 上位企業の手軽な確認 |
関連リンク | 各指標に関連するWikipediaへの リンクと、各指標をさらに詳しく 知るためのおすすめ書籍情報 | 各指標に関してさらに 理解を深める際の足掛かり |
財務指標カードの解説

財務指標の算出プロセス

ザイマニに掲載されている各財務指標の平均値や中央値が、どのように算出されているかを簡潔に解説します。
算出プロセスの目次
前提:各年の計算グループ基準は年度終了日
- 各財務指標の平均値や中央値は、上場企業の提出する有価証券報告書の記載内容を基に算出する
- 上場企業の決算月はバラバラであるため、以下の基準で各年の計算グループを設定する
各企業が有価証券報告書に記載する「年度終了日」が属する年を対象年とする(期末基準)
- これは各企業の貸借対照表が年度終了日(決算日)を基準に作成されるため
- 上記の基準で振り分けた後、各財務指標の平均値などを算出する
- 具体例は以下の通り
企業名 | 有価証券 報告書提出日 | 年度開始日 | 年度終了日 | 計算 グループ |
---|---|---|---|---|
トヨタ自動車 株式会社 | 2020-06-24 | 2019-04-01 | 2020-03-31 | 2020 |
株式会社ニトリ ホールディングス | 2019-05-17 | 2018-02-21 | 2019-02-20 | 2019 |
株式会社千趣会 | 2019-03-29 | 2018-01-01 | 2018-12-31 | 2018 |
- 「株式会社千趣会」のように年度終了日が12月の企業の有価証券報告書は、翌年の3月末までに提出される
- つまりザイマニが提供する最新データは各年の4月上旬に完成する
- 例えば「2020年」の各財務指標の平均値などは2021年の4月上旬に完成する(それまでは母数が100%ではない)
データ取得
- データの取得元は金融庁が管理するEDINET
- EDINETが提供するAPIを活用し、上場企業が提出した過去5年分の有価証券報告書の全データを取得(都度最新データを取得予定)
- 対象企業は毎年1月1日に取得したEDINETコードリストに記載のある企業やファンドの中から東京証券取引所に上場している全企業(地方取引所の単独上場銘柄は対象外)
- 有価証券報告書の内容に誤りがあった場合に提出される訂正報告書の内容は取得していない
- 取得した全財務データから財務指標の計算に必要な値を抽出する(2021年1月時点における抽出精度は90%程度)
データ整形
- 過去5年分の各企業の有価証券報告書を「前提」章のルールで各年に仕分けする
- 会計項目などが一般事業会社と異なる「金融業」に該当する企業を除外する
- 「金融業」とは具体的に「銀行業」「保険業」「証券、商品先物取引業」「その他金融業」
- 各財務指標の定義における分子か分母いずれかの勘定科目が0以下の企業を除外する
- 例えば売上高原価率(=売上原価÷売上高)を計算する際に分母の売上高が0以下の企業は除外する
- ただし、除外するのは分子分母のいずれかが0以下の年度のみ(問題なく計算できる年度は計算に含める)
- 当期純利益は原則的に「親会社に帰属する当期純利益」の値を用いて計算する
- 各財務指標の定義に従って平均値や中央値を算出する(原則として期中平均を使用せず各年度の決算値で算出)
- 各財務指標の平均値や中央値テーブルにおける「企業数」は最新年度の企業数を示す
- 以下の例では2020年の分析対象企業数を示す

データ使用時の注意点
- 有価証券報告書に誤りがあった場合に提出される訂正報告書の内容は加味されていない
- ただ、訂正報告書の提出割合は有価証券報告書の10%程度であること、そして訂正内容は財務諸表以外の箇所に多い(役員情報など)ことを踏まえると大きな差異はないと考えられる
- 過去に上場していたが、上場廃止となりEDINETコードリスト取得日(毎年1月1日)に上場していない企業はすべての年度において計算対象外
- 計算結果の精度は100%ではない(2021年1月時点で90%程度)
- ヒストグラムは上位5%と下位5%の企業を除外して出力している(平均値などの算出には含まれている)
- これは分析対象となる全企業を含めたヒストグラフを作成すると、外れ値がある場合グラフが読み取りにくくなるため
- 例えば以下の例では1枚目が母数100%のヒストグラム
- 2枚目が母数90%(上位5%と下位5%を含めずに出力した)ヒストグラム


データに関するお問い合わせ
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