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【7章】財務分析の手順

7章の要点
分析の目的を達成するために必要なデータを収集・加工・グラフ化する。
時系列・競合分析を活用して導き出した企業の競合優位性を意思決定に活かす。
7章の目次

7章ではザイマニが提案する「財務分析の進め方」を解説するよ。慣れてきたら自分が分析しやすいようにカスタマイズしてみてね。
1. 財務諸表分析の手順・やり方 | 全体像
財務分析の手順を以下の7ステップで解説します。
本章には財務攻略講座の序章〜6章までの内容をふんだんに詰め込みました。
今までの章で解説済みの内容はそれと分かるように各章へのリンクを設置しています。



よく分からなくなったら各章に戻って復習しよっと
STEP1 | 目的の確認


序章「財務分析の本質」で解説した通り、財務分析の狙いは分析結果を意思決定に活用すること。
必然的に「財務分析の結果をもとに、何を決めたいのか?」が決まっていないと意味がありません。
代表的な例を挙げれば「就職先をA社とB社、どっちにしようか迷っている。財務分析の結果を意思決定の判断材料にしたい」といったパターン。
財務分析を実施する際には目的を設定・確認してからスタートしましょう。



分析が長期間に渡る場合は、目的を忘れないように工夫しよう。紙に書いて壁に張っておくとか
STEP2 | データの収集


つづいてSTEP2。財務分析に必要なデータを収集しましょう。
STEP1で目的を確認している状態なら「手元にどんな財務データを集めるべきか?」が分かっているはず。
もちろん、分析の進捗によって追加的にデータが必要となる場合もあります。
しかし分析途中でデータセットをアップデートするのはミスにつながりやすいため、最初にすべて集めてしまうのが理想的と言えるでしょう。



財務データの入手手順は6章をチェック!誰でも無料でゲットできるよ
STEP3 | データの加工


STEP3はデータの加工。分析の目的に合わせて収集した財務データを計算するステップです。
具体的には、以下の4つの分析に対応できるようデータを加工します。
- 実数分析:財務三表等の数値をそのまま分析
- 比率分析:財務三表等の数値をもとに割合を計算して分析
- 時系列分析:複数年の財務データから増減額や変化率を分析
- 競合分析:競合他社と財務データを比較する分析
「最新の決算における黒字額を確認したい」だけなら❶だけでも十分ですが「過去3年分の財務データを実数・比率問わず競合と比較した上で優位性を発見したい」となると❶〜❹すべてに対応が必要です。



目的に合わせてデータを加工しようね
また、データを加工して❷比率分析を実施する際には財務分析の道標となる5つの視点を押さえておきましょう。


5つの視点とは「安全性」「成長性」「収益性」「割安性」「効率性」。
このように企業の財務を5つの視点で多角的かつ縦深的に分析するのは、ザイマニオリジナルの分析方法です。



企業の財務状態に加えて市場からの評価も織り込んだ、バランスの良い分析方法だと思ってるよ
それぞれの視点では以下のポイントを念頭に評価を行います。
- 安全性:倒産しそうにないか?
- 成長性:成長が持続しているか?
- 収益性:利益や現金を生み出しているか?
- 割安性:競合他社より株価は割安か?
- 効率性:資産はムダなく活用されているか?
分析者としてのあなたが重視するのはどの視点でしょうか?
目的と照らし合わせて考えることで着目すべき視点、そして算出すべき財務指標を判断することができます。
以下では各視点を重視する人物像と、各視点における代表的な財務指標をまとめて解説させて下さい。


例えば分析者が融資担当の銀行員であれば、企業の「安全性」を重視するでしょう。倒産されては困りますからね。
一方で、あなたが株式投資で利益を狙う投資家なら「成長性」「収益性」そして「割安性」と多くの視点で分析が必要だと考えられます。
企業の競合優位性(例えば業界No.1がNo.1であり続ける理由)は、時に表に現れず、数字の裏に隠れているものですから。



個別の視点と合わせて総合的な分析もできるとGood
企業の規模に関わらず、主に比率によって財務状況の良し悪しを分析する「財務指標」に関する説明は本講座では割愛します。
詳しく知りたい方は、100種類以上の財務指標の計算式や目安をまとめた「財務指標百科」カテゴリをご覧ください。
STEP4 | データのグラフ化


STEP3までで必要なデータの収集、計算が終わりましたね。
続いてSTEP4ではデータのグラフ化(ビジュアル化)を行いましょう。
数字の羅列をグラフにすることで差分や成長率をひとめで把握できるようになります。
特に何日にも渡って分析を行う場合は、分析内容を簡単に思い出せて便利。
他のメンバーを交えて分析をする場合には、全員の理解度を効率的に合わせることができて便利です。



グラフ化はエクセルを使うのが一般的かな?ザイマニでは「財務分析図鑑」で約3,600社の財務をビジュアル化しているよ。ぜひ参考にしてね
STEP5 | 時系列・競合分析
STEP4までで必要なデータの収集、加工、グラフ化まで完了しましたね。
ここからいよいよ財務分析と参りましょう。STEP5「時系列・競合分析」です。


まず、グラフ化した財務データを時系列順に並べることで、企業の好調不調をひとめで捉えることができます。
具体的には、BSの総資産額やPLの売上高が順調に右肩上がりを続けている場合、業績は好調だと考えて間違い無いでしょう。
総資産額や売上高の変化で企業のおおよその調子を把握し、その後で各種財務指標の値を時系列で追っていくのがおすすめです。



3〜5年分くらいのデータを並べてみよう。「1年だけ調子がよかった・悪かった」なんて企業も見つかるかも


時系列分析と合わせて実施したいのが競合分析。
グラフ化した財務データを複数セット横に並べることで、その差分をつまびらかにすることが出来ます。
欲を言えば時系列×競合、つまり複数年にわたって競合企業との差分を追うことができればベストですが、対象年度を増やすほど手間がかかるもの。
まずは最新決算だけで比較してみるのがおすすめです。



ザイマニの「企業ヒカク」では最大3社×1年分の決算を比較できるよ。いろんな企業を比べてみてね
STEP6 | 競合優位性の予測
STEP5までで財務データを用いた財務分析は一旦終了。
STEP6は財務分析で発見した「競合との差分」がなぜ生まれたのか?を逆算して推測します。


例えば上の画像は任天堂とスクウェアエニックスの比較分析結果です。
STEP3で紹介した5つの視点の中で最も大きな差があるのは「成長性」の項目だと分かりました。



なんで任天堂の方が成長してるんだろ?
その理由を考えるのがSTEP6です。
つまり「任天堂の競合優位性を生み出す源泉は何なのか?」を今まで集めた情報や分析結果をもとに、自分の頭で考えます。
もちろんこれは仮説に過ぎません。間違っている可能性も高いです。
そもそも正しい答えなど存在せず、「運」などといった突発的な外部要因による可能性だって捨てきれませんから。



自分なりに競合優位性の背景を考えたら最後のステップへ進もう
STEP7 | 財務分析のその先へ


STEP7は競合優位性の見極めです。つまりSTEP6で考案した仮説を検証するフェーズとも言えるでしょう。
ここまでくるとやや「財務分析」の枠を外れますが、序章「財務分析の本質」で確認した通り、財務分析には限界があります。
財務諸表に基づく分析では、限られた期間の「過去」しか見えず、非財務情報も分析対象外です。



でも、ちょっとした追加的なリサーチで財務分析の限界はフォローできるよ
結論から言えば、未来に関する情報や定正的な情報を集めましょう。
確実性は一切ありませんが、STEP6で立てた仮説を検証できるかもしれません。意思決定を間違えるリスクを軽減できるかもしれません。
人生の重要局面における意思決定に限って言えば、このような追加的なリサーチで企業の競合優位性を徹底的に見極めてみてはいかがでしょうか?



最後に、おすすめの情報リソースを簡単に紹介するよ。追加的なリサーチをする際に参考にしてね。
- 有価証券報告書「企業の概況」「事業の状況」
- 四季報 各企業ページの「特色(事業内容)」
- 各企業の中期経営計画書やアニュアルレポート
2. 財務諸表分析の手順・やり方 | まとめ


以上がザイマニが提案する「財務分析の手順・やり方」でした。
分析の目的を常に忘れず、必要なデータを収集・加工・グラフ化し、時系列・競合分析を活用して導き出した企業の競合優位性をあなたの意思決定に活かしましょう!
7章を画像で復習する



























最後に実力確認クイズに挑戦しよう!10点満点だよ

