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【6章】財務データの入手方法
6章の要点
財務データはEDINETに掲載されている有価証券報告書から入手するのが最適な方法。
過去10年分の財務データを誰でも無料で入手できる。
6章の目次
6章の内容をマスターして、気になる企業の財務データをゲットしてみよう!
1. 財務データの入手方法 | 要点
財務分析をする場合、EDINETに掲載されている有価証券報告書から財務データを入手するのが最適な方法です。
有価証券報告書(略して有報)については1章「財務諸表の構成」で確認しましたね。各上場企業の財務諸表を含む膨大な財務情報が記載されたレポートです。
有価証券報告書は分かるけど、エディネットって何?
EDINETは金融庁が運営するウェブサービスです。その目的のひとつが「投資家保護」。
上場企業の財務状況を公平かつ迅速に公開することで、投資の判断材料となり得る財務情報を十分に提供すること(そして、できれば眠っているお金を株式市場で活用してもらうこと)が狙いですね。
各上場企業の有価証券報告書はEDINETに公開されており、過去10年分までなら誰でも無料で閲覧可能です。
EDINETのことをもっと詳しく知りたい方は金融庁公式サイトの「EDINETについて」ページをチェックしてね
財務分析を実施する就活生や投資家にとって、EDINETとは「有価証券報告書を閲覧できる便利なサービス」と捉えて頂いて間違いありません。
以下では実際のEDINETの画面を参考にしつつ、EDINETの使い方(有価証券報告書の入手方法)を解説します。
EDINETは慣れたら簡単に使いこなせるよ。この機会にマスターしよう!
2. 財務データ・決算書の入手手順
EDINETにアクセス後「任天堂株式会社」の有報を閲覧する直前までの手順を解説します。
財務データを取得したい企業に関連したキーワードを入力しましょう。
4桁の証券番号でもヒットしますが、他の企業の財務データにヒットして、検索結果に複数の企業が並んでしまいがち。
よってSTEP2では企業名(一部でもOK)を入力するのがおすすめです。今回は「任天堂」と入力しました。
「株式会社ヤマト」「ヤマトホールディングス株式会社」など同じキーワードを含んだ企業も時々あるので注意してね
続いて提出期間の選択をしましょう。デフォルトでは「過去1年」となっています。
これを「全期間」に変更することで検索結果に過去10年分の有価証券報告書が表示されます。業績の変化や成長率を分析したい時に活用しましょう。
もちろん、最新の有価証券報告書だけを閲覧したい場合はSTEP3をスルーしてOKです。
キーワード入力と提出期間の設定が完了すれば、後は「検索」ボタンをクリックするだけです。
クリック後も入力したキーワードや提出期間の設定は保存されているため、それほど神経質になる必要はありません。
意図しない検索結果が出力された場合、すぐに再検索できるため安心してトライしましょう。
STEP4までの設定で検索したところ、無事に任天堂株式会社の有価証券報告書が過去10年分表示されました。
後は「提出書類」列または「PDF」列のリンクをクリックすることで有価証券報告書を閲覧可能です。
EDINET上で有価証券報告書を閲覧する場合、画面左の目次を操作して「第5 経理の状況」を見つけましょう。
財務三表それぞれの書類内容を表示するリンクがすぐに見つかります。
ぜひ気になる企業の有報から財務データをゲットしてみてください。
EDINETはふとしたタイミングで長時間メンテナンスに入ることも…PDFを自分のPCにダウンロードしておくと安心だね
財務データの入手手順に関する解説は以上。
以下では「なぜ企業の財務分析をする場合、有価証券報告書が最適な書類なのか?」に焦点を当てます。
3. 3つの決算書の特徴
1章「財務諸表の構成」で確認した通り「決算書」と呼ばれる書類は主に3種類存在します。
それぞれ「有価証券報告書」「四半期報告書」「決算短信」です。
各決算書の特徴と読むべき人物像をチェック▼
まず有価証券報告書は、企業の財務分析をしたいすべての人が活用すべき書類です。
各企業の確定した財務データをEDINETから手軽に取得可能。金融商品取引法に基づき、会計監査を受ける義務もあるため、財務データの信頼性は高いと言えるでしょう。
ほとんどの企業が決算日から3ヶ月ギリギリで提出するため、即時性で決算短信にやや劣りますが、その他に大きな弱点は見当たりません。
財務分析初心者なら迷わず有報を使うのがおすすめ!
続いて四半期報告書について。これは有価証券報告書を3ヶ月ごとに区切った書類と考えてください。
四半期報告書は年に3回発行され、3ヶ月ごとの財務データを確認可能です(4回目の四半期報告書が有価証券報告書にあたる)。
有価証券報告書を活用した複数年での分析よりも、もっと短いスパンで業績変化を分析したい学生や研究者におすすめの書類です。
つづいて、決算短信について
決算短信は即時性に重きを置いた決算書類。
有価証券報告書はもちろん、四半期報告書よりも早く提出されることがほとんどで、一刻も早く最新の業績を把握したい投資家に重宝されています。
ただ、掲載されている数値はあくまで「速報」。有価証券報告書にて内容が修正されることもあるばかりか、監査を受ける必要もありません。よって信頼性にやや欠ける書類とも言えるでしょう。
決算短信、過信は禁物だね
以上では「有価証券報告書」「四半期報告書」「決算短信」の特徴を整理しました。
企業の財務分析をする際には、データの信頼性が高く、複数年の時系列分析にも対応できる有価証券報告書が最適です。
4. 決算発表スケジュール
最後に「有価証券報告書」「四半期報告書」「決算短信」の決算発表スケジュールを押さえておきましょう。
任天堂(3月決算)を例にとり、2020年〜2021年において各決算書がいつ提出されたかを整理しました。
2020年の3月31日に決算を迎えた後、37日後に決算短信が、約3ヶ月後に有価証券報告書が提出されています。
その後は3ヶ月ごとに四半期報告書と決算短信が提出されていますね。
どのタイミングでどの決算書が提出されるか分かってきたよ
任天堂は3月決算の企業ですが、上場企業の決算月はバラバラです。
各企業の決算月を確認したい場合は、ザイマニの「財務分析図鑑」または東京証券取引所の「東証上場会社情報サービス」をご活用ください。すぐにチェックできますよ。
5. 財務データの入手方法 | まとめ
上場企業の財務分析を実施する場合、EDINETにて有価証券報告書から財務データを取得するのが最適な方法です。
誰でも無料で過去10年分の情報を取得できるので是非ご活用ください。
過去10年以上の財務データがほしいときは各企業のIRページを探してみよう。例えば任天堂のIRライブラリーでは、2004年度分までの有価証券報告書を閲覧できるよ(2021年時点)
次回の7章では「実際にどうやって財務分析を進めていけばいいのか?」その手順に焦点を当てます。
財務攻略講座のゴール「自分で上場企業の財務分析ができる」まで後一歩ですね。
6章を画像で復習する
次は7章「財務分析の手順」だよ。